伊豆大島南部地区の差木地(さしきじ)で、太陽の光と大地のパワーをぎゅっと凝縮した、濃厚な甘みが特徴のミニトマト「あまっこ」を育てる奥山英男さん、智実さん夫妻を訪ねました。
農園の所在地を伺うと、だいぶ奥まったところにあるとのことで、取材当日はご主人の英男さんが大島一周道路沿いまで来てくれて、農園まで道案内してくれました。農園までの道のりは狭くクネクネした道が続いていて、そんな道を巧みな運転で颯爽と車を操る英男さんを必死で追いかけるところから取材はスタートしました(笑)。
生活の一部に農業がある暮らし
農園は自宅に隣接していて、前方を見渡すと連なるハウスの向こうに利島をはじめとした伊豆諸島の島々が望めました。英男さんは素潜りの漁師、智美さんは保育園の先生という兼業農家さん、自然に囲まれた緑豊かな場所で生活の一部に農業がありました。
英男さんは25歳の時に島に戻って来て以来、素潜りの漁師として働いていましたが、やがて大島の代表的な農産物であるブバルディアを中心とした切り花を栽培していた両親の敷地が活用されていないことから、農業にも携わるようになりました。最初は両親と同じく切り花の栽培を行なっていたそうですが、連作で土がやせてしまい断念することに。
その後、大島の特産品であるキヌサヤの栽培をはじめましたが、キヌサヤだけではハウスが半年期間空いてしまうたため、空いている期間にできる農作物はないかと検討したところ、ミニトマトに着目。品種は当時テレビに映る天皇皇后両陛下の第一皇女子の愛子さまの姿を見て、娘さんがふと「アイコはどう?」と提案されたため、アイコの栽培に着手したそうです。ところが、アイコは人気の品種で多くの農家さんが栽培されていたので、差別化を図るべく他の品種を検討したところ、東京都島しょ農林水産総合センター普及指導員の協力などもあり、あまっこに出会い、本格的に栽培に取り組むことになりました。
最高糖度は15度にも!濃厚な甘みが特徴のあまっこ
伊豆大島は今も活動を続ける活火山の島で、過去の度重なる噴火による火山灰土壌の土地が特徴。それ故、水はすぐに大地の奥深くに浸透するため保水性が乏しく、養分が流失しやすい土壌なのです。一方で根腐れを起こしにくく、堆肥をしっかり施せばどのような作物も栽培できる土地でもあります。あまっこはそんな島の特徴的な大地があったからこそ、しっかりと養分を蓄えた濃厚なトマトに育つのです。
奥山夫妻もあまっこのあまりの甘さに自身の味覚が麻痺していないだろうかと心配になり、糖度計を購入。今では正確な数値をチェックしながら、さらなるおいしさを追及されています。
自然の恵みが、ときには脅威に
伊豆大島は自然が豊かな反面、自然の厳しさもひとしおです。
農業を行なっていく上で避けて通れないのが、自然の脅威といかに向き合っていくか。
特に厳しいのが、台風をはじめとした風による被害です。伊豆大島では風速10m以上の風が吹く日が1年の3分の1ほどもあり、特に冬の時期には風速15mの西風が2,3日吹き続くこともあります。1年を通じてハウス栽培の奥山さんは台風接近の際は気が気でなく、いつもビクビクしてしまうのだとか。奥山さんの農園は北風がよく入るので、北風が強く吹く際は特に恐いそうです。そんな厳しい自然とも向き合いながら、奥山さんのあまっこは大切に育てられています。
さらなる甘みを追及!あまっこのドライトマトを作るのが夢
そんな奥山さんの夢を伺うと、
「いつかあまっこのドライトマトを作りたいの。甘みが生よりも凝縮されてホント美味しいよ。保存も効くし、料理にも色々活用できるしね!」
あまっこのドライトマト。聞いただけでよだれがじゅるり、してしまいます(笑)。
奥山さん、それ、実現させましょう!!
艶やかに真っ赤に輝く姿はまるで宝石
奥山さんは現在、9棟あるハウスのうちの4棟であまっこの栽培を行なっています。ハウスを見学させていただくと、真っ赤に輝く可愛らしいあまっこたちが出迎えてくれました。整然と植えられたあまっこたち、手の行き届いた綺麗な圃場の様子から、奥山さん夫妻のあまっこに注ぐ並々ならぬ愛情が伝わってきました。
(智実さん)「手にとって食べてみなよ!」
(私)「え!じゃあ、お言葉に甘えて、一つ…」
(私)「!」
(私)「うーまーいっ!そして、すんごくあーまーいっ!」
(智実さん)「笑」
濃厚な甘みはもちろん、程よい酸味が最高のバランスで口の中に広がります。
本当にフルーツを食べている感覚に近いです。
さらに椿油や島の海塩をパラパラっとふりかけて、ハーブを散らせてみれば、たちまち高級レストランの一流シェフが腕をふるった料理にも劣らない極上の一品になりますね。
別のハウス棟では、秋に向けての苗づくりが進んでいました。
こうやって、あまっこが皆さんの元へ最高の状態で届くよう、奥山さんの作業は日々続きます。
さまざまな状況を見ながら、その時点における最適な栽培環境をつくり上げる。農家さんのたゆまない努力は続きます。日々の経験の積み重ねが美味しさにつながる。農家さんの腕の見せどころです。
いかがでしたか?
伊豆大島の大自然と奥山さん夫妻の愛情がたっぷり注がれた濃厚フルーツトマト「あまっこ」食べて見たくなりませんか?
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